東京地方裁判所 昭和39年(ワ)135号 判決 1964年7月15日
原告(反訴被告) 荻原好之助
原告(反訴被告) 君塚春吉
右両名訴訟代理人弁護士 松島政義
被告(反訴原告) 遠藤利子
右訴訟代理人弁護士 藤井英男
主文
一、別紙目録記載の各不動産を競売に付し、その競売売得金を被告(反訴原告)四分の二、原告(反訴被告)両名各四分の一の割合を以て分配することを命ずる。
二、反訴原告(被告)の反訴請求を棄却する。
三、訴訟費用は本訴及び反訴を通じすべて被告(反訴原告)の負担とする。
事実
≪省略≫
理由
原告等、被告及び訴外関根興慶の四名が昭和二七年一〇月一七日本件土地(註、宅地三筆合計二一八坪余)を共同競落し、昭和二九年二月二五日その旨四分の一宛の持分による所有権取得登記を経由したこと、及び昭和二九年八月二三日訴外関根興慶が自己の持分四分の一を被告に譲渡し、同日その旨の持分移転の登記を経由したことは当事者間に争がない。被告は、訴外関根興慶とともに原告両名よりもその持分の譲渡を受けた旨主張するが、該主張を肯認するに足る証拠は全くなく、却つて証人関根興慶の証言及び原告荻原好之助本人尋問の結果によれば、かかる事実は全然存しなかつたことを認めるに十分である。しからば被告の本件反訴請求はまず失当として棄却を免れない。
よつて本訴につき進んで按ずるに、被告が原告両名よりの分割協議の申出に応じ、協議を尽くそうとしないことは、原告荻原好之助本人尋問の結果及び本件口頭弁論の全趣旨に徴して明らかである。
そこで次に分割の方法について考えてみるに、本件土地上に現に第三者数名がそれぞれ建物を所有し、被告がこれらの者から地代を徴収していることは当事者間に争ないところ、かかる状況のもとにおいて現物分割をなすことは原告等主張のとおり著るしく本件土地の価格を損ずるおそれがあると認めるに妨げないから、本件土地を競売に付し、その競売売得金を持分に応じ被告四分の二、原告両名各四分の一の割合を以て分配すべきことを命ずるのを相当とする。
以上説示の次第で、原告両名の本訴請求は理由あることが明らかであるからこれを認容し、被告の反訴請求は前記のとおり失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 古山宏)